※Warning※
元ネタが宮沢賢治「永訣の朝」である故見方によれば盗作になるかもしれません。
この作品を読んで気分を害したり吐き気を催したりした場合は意見感想板にて報告頂ければ潔く撤去しますのでご了承願います。


けふのうちに
遠くに 行ってしまう わたくしのレポートよ
雪がふって おもては へんに明るいのだ

(あめゆじゅ とてちて けんじゃ)

青いWの文字のついた
動かなくなって 1時間も経つ MicroSoftWord
おまえが 再び動くのではないかと
わたくしは まがった てっぽうだまのやうに
今か 今か と待ち構えている

(あめゆじゅ とてちて けんじゃ)

フリーズなどでは ない
今こうして 日記は かけている
動かないのは MicroSoftWord だけ
いつも フリーズばかり おこしているパソコンだが
今回ばかりは どうやら 状況が違うやうだ
わたくしは おまえのために 6時間も費やしたのだ
どうしてなのだ わたくしの けなげな レポートよ
わたくしは おまえの再び動くのを待つから

(あめゆじゅ とてちて けんじゃ)

はげしい はげしい ファンの回る音から
おまえは わたくしに 何を求める

わたくしは そのうへに あぶなくたち
雪と 水との まっしろな 二相系をたもち
すきとほる つめたい涙に みちた
このつややかな パソコンから
わたくしの やさしい レポートの
さいごの 希望を 

わたしたちが いっしょに そだってきた あひだ
みなれた ちやわんの この 藍のもやうにも
もう けふ おまへは わかれてしまふ

(Ora Orade Shitori egumo)

ああ あの とざされた ウィンドウの
くらい びゃうぶや かやの なかに
やさしく あをじろく 燃えてゐる
わたくしの けなげな レポートよ

「外国文献レポート - MicroSoftWord(応答なし)」

おまへは 今もわたくしの こころを痛める

この窓は どこを えらばうにも
あんまり どこも まっしろなのだ
あんな おそろしい みだれた ディスプレイから
この うつくしい レポートが できたのだ
できそうだったのだ

(うまれで くるたて
  こんどは こたに わりやの ごとばかりで
   くるしまなあよに うまれてくる)

おまへが 動かなくなった このパソコンに
わたくしは いま こころから いのる
どうか データが 保存されていて
やがては わたくしに 聖い喜びを もたらすことを
わたくしの すべての 怨念をかけて ねがふ